【学習の指針】アイザック・ニュートンの最大の業績「ニュートン力学」を正式にキチンと勉強したい人には、当「初等力学正典」をお薦めする。アイザック・ニュートン自身による「プリンシピア」がニュートン力学の原典だが、いまどき力学をプリンシピアで勉強する人など、ほとんど全く居ないだろう。一般に、古い理論を原論文で勉強する、というやり方は、それによってこそ得られるものもあるらしいが、非常に能率が悪く、学習挫折の危険も伴う。さて、高校物理ではニュートンの運動方程式は
F = M A という代数方程式として認識されていたが、大学の物理学ではニュートンの運動方程式は微分方程式だとの認識が大前提と成る。代数方程式の解は数(の組)だが、微分方程式の解は関数(の組)だ。したがって、初等力学(ニュートン力学)の学習は、その大部分が、微分方程式を解いて関数を求める、という純数学的作業に費やされる。微分方程式を解く事は、しばしば広い意味での積分と考えられるので、初等力学(ニュートン力学)の問題演習は「あなた、この積分できますか?」といった類の問題だ、と皮肉を込めて言われるのを聞いた事がある。これは良い意味で非常に穿っている。しかし、これ以外に、運動方程式を立式するという、数学ではない物理学固有の作業も、初等力学(ニュートン力学)の学習には含まれる。流体力学や弾性体の力学などの連続体の力学は、広い意味でのニュートン力学だ。だから、余力のある人は、枝葉を補う学習として、流体力学や弾性体の力学などの連続体の力学を、学習してみると良い。ニュートン力学は、相対性理論や量子力学と対比して、非相対論的古典力学と呼ばれる。「古典力学」という語は「量子力学」の対義語だ。
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