TEC-0-1-52
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TEC-0-1-52 初等力学正典

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[補足説明欄]

1行目の式は、TEC-0-1-51-30の式の不定積分です。
Eは全力学的エネルギーではありません。
全力学的エネルギーは以下です。
(1/2)[ω'(t)]tΛω'(t) + Σi=1n migri3 ∵ CAN-1-1-28-27〜30
 = (1/2)[λ1(ω'1)2 + λ2(ω'2)2 + λ3(ω'3)2] + Mgrc3 ∵ CAN-1-1-28-30の補足説明, CAN-1-1-16-21,22
 = (1/2)[λ1(ω'1)2 + λ1(ω'2)2 + λ3(ω'3)2] + Mglcosθ ∵ TEC-0-1-50-8, 11〜20; CAN-1-1-23-5〜14
 = (λ1/2)[(dφ/dt)2(sinθ)2 + (dθ/dt)2] + (λ3/2)[(dφ/dt)cosθ + dψ/dt]2 + Mglcosθ ∵ CAN-1-1-26-16〜18
 = E + (λ3/2)a2 ∵ TEC-0-1-51-11, TEC-0-1-52-1
2021.02.10,16;2021.06.20

3,4行目の式は、(TEC-0-1-51-11の式)×λ1(dθ/dt)sinθ + (TEC-0-1-51-18の式)×sinθ です。2021.02.10

6行目の式の成立根拠は3,4行目の式です。
その事は以下の点に注意すれば分かります。
(d/dt)[(dφ/dt)(sinθ)2]
 = (d/dt){(sinθ)[(dφ/dt)sinθ]}
 = (dθ/dt)(cosθ)[(dφ/dt)sinθ] + (sinθ)(d/dt)[(dφ/dt)(sinθ)]
 = (dφ/dt)(dθ/dt)(sinθ)(cosθ) + (sinθ)(d/dt)[(dφ/dt)(sinθ)].
以下の点にも注意して下さい。
-aλ1(dθ/dt)sinθ と a(λ1 - λ3)(dθ/dt)sinθ を別々に積分した後で足していますが、足した後で積分した方がスマートです。2021.02.10;2021.06.21

8行目の式は7行目の式の不定積分です。2021.02.10

10,11行目の式の成立根拠は8行目の式です。2021.02.10

12,13行目の左の等号の成立根拠は、TEC-0-1-51-11の式です。2021.02.10;2021.06.21

12,13行目の右の等号の成立根拠は、TEC-0-1-52-10,11の式です。2021.02.10;2021.06.21

15,16行目の式は1行目の式に10,11行目の式を代入する事によって得られます。2021.02.10

21,22行目の左の等号の成立根拠は以下です。
(du/dt)2 = [-(dθ/dt)sinθ]2 ∵ u = cosθ (20行目)
 = (dθ/dt)2(sinθ)2.
この式に17,18行目の式を代入し、さらに (sinθ)2 = 1 - u2 を使えば、21,22行目の式が得られます。2021.02.10

ここまでの数式処理は、第2章[2](3)(ii)逆2乗中心力の問題の解法のTEC-0-1-29までの部分と似ています。
TEC-0-1-51-1〜9の連立方程式を見た時には、これをどうしろと言うんだ、と思うかもしれませんが、逆2乗中心力の時と同じ展開に持ち込もう、という方針で臨めば何とか成る面が有ります。
実際なんとか成ったわけですから。
物理学正典の紙部分を執筆した時の私には、それ以外に、既に知られている結果式までつなげばよい、という事情も存在していました。2021.02.10

25〜30行目に描かれているfのグラフの概形の根拠は以下です。
(1) f(u)はuの3次関数でありu3の係数2Mgl/λ1は正(プラス)である。
(2) f(-1) ≦ 0 and f(+1) ≦ 0 ∵ 21,22行目の式。
(3) f(u) ≧ 0 である様なuが -1 ≦ u ≦ +1 の範囲に存在する。
このうちで(1)(2)が成り立つのは λ1 > 0 だからですが、λ1 > 0 であるのは、
λ1 = I'11 = Σi=1n mi[(r'i2)2 + (r'i3)2] ・・・ CAN-1-1-27-5〜10への補足説明と同様
and mi > 0 ・・・ CAN-1-1-4の補足説明欄およびCAN-1-1-15-10,11
だからです。
(3)は、a, E, bの値が初期条件(たとえば t = 0 でのψ, θ, φ, dψ/dt, dθ/dt, dφ/dtの値)からTEC-0-1-51-11の式とTEC-0-1-52-1,8の式で決められるので、これらの式から導かれたTEC-0-1-52-21,22の式に初期条件を代入しても成り立つ事、から分かります。
uとdu/dtへの代入は u = cosθ, du/dt = -(dθ/dt)sinθ を通して行なえます。
t = 0 で ψ = ψ0 and θ = θ0 and φ = φ0 and dψ/dt = ψ'0 and dθ/dt = θ'0 and dφ/dt = φ'0 とすると、
-1 ≦ u0 ≦ +1 でありながら、
f(u0) = (2/λ1)(1 - u02)(E - Mglu0) - (b - aλ3u0)2/(λ1)2 ∵ 21,22行目
 = (1 - u02)[(φ'0sinθ0)2 + θ'02] - [φ'0(sinθ0)2]2 ∵ 1,8行目
 = (θ'0sinθ0)2 ∵ 1 - u02 = (sinθ0)2
 = u'02 ≧ 0.
ただし、u0 = cosθ0 とし、t = 0 で du/dt = u'0 としました。2021.02.10,11,15,16;2021.06.21,22

ここで、u1 > 0 and u2 < +1 とする事が出来るかを考えてみます。
u1 > 0 and u2 < +1 ならば、コマの運動は 0 < u1 ≦ u = cosθ ≦ u2 < +1 従がって π/2 > θ > 0 の範囲に制限されるので、コマは倒れない様に支えられもしないのに傾いたまま倒れない事に成ります。
df(u)/du = -(4/λ1)u(E - Mglu) - (2/λ1)Mgl(1 - u2) + 2aλ3(b - aλ3u)/(λ1)2 ∵ 21,22行目
 = (6Mgl/λ1)u2 - 2[2E/λ1 + (aλ31)2]u + 2[abλ3/(λ1)2 - Mgl/λ1].
ここで、df(u)/du = 0 の2つの解を u = α と u = β だとすると、
df(u)/du = (6Mgl/λ1)(u - α)(u - β)
だから、高校数学で習う「2次方程式の解と係数の関係」は次の様に成ります。
α + β = 2[2E/λ1 + (aλ31)2]÷(6Mgl/λ1) = [2E + (aλ3)21]÷(3Mgl) ・・・ (1),
αβ = 2[abλ3/(λ1)2 - Mgl/λ1]÷(6Mgl/λ1) = (abλ31 - Mgl)÷(3Mgl) ・・・ (2).
さて、f(u)がuの3次関数でu3の係数2Mgl/λ1が正(プラス)である事、および -1 ≦ u ≦ +1 のどこかで f(u) ≧ 0 と成る事は既に分かっているので、もし f(0) < 0 and f(+1) < 0 and α > 0 and β > 0 ならば u1 > 0 and u2 < +1 である事が25〜30行目の図から分かります。
f(0) < 0 ⇔ 2E/λ1 - (b/λ1)2 < 0 ⇔ 2Eλ1 - b2 < 0 ・・・ (3)
∵ 21,22行目。
f(+1) < 0 ⇔ -(b - aλ3)2/(λ1)2 < 0 ⇔ b ≠ aλ3 ・・・ (4)
∵ 21,22行目。
(α > 0 and β > 0) ⇔ (α + β > 0 and αβ > 0).
α + β > 0 ⇔ [2E + (aλ3)21]÷(3Mgl) > 0 ⇔ 2Eλ1 + (aλ3)2 > 0 ・・・ (5)
∵ (1).
αβ > 0 ⇔ (abλ31 - Mgl)÷(3Mgl) > 0 ⇔ abλ3 - Mglλ1 > 0 ・・・ (6)
∵ (2).
TEC-0-1-52-1,8の式とTEC-0-1-51-11の式を使ってa, b, Eを初期値ψ0, θ0, φ0, ψ'0, θ'0, φ'0で決める事を考えます。
0 < θ0 < π/2 とすれば E > 0 に成る事がTEC-0-1-52-1の式から分かります。
E > 0 ならば(5)が成立します。
TEC-0-1-51-11の式からψ'0を大きくすればaを幾らでも大きく出来る事が分かり、TEC-0-1-52-8の式から 0 < θ0 < π/2 ではaが大きく成ればbが幾らでも大きく成る事が分かります。
TEC-0-1-52-8の式にはdψ/dtがaを通してのみ現れているからです。
この事と、TEC-0-1-52-1の式にdψ/dtが含まれていない事から、ψ'0を十分に大きくすれば(5)の成立を妨げる事なく(3)を成立させる事が出来ると分かります。
ψ'0を大きくすればaもbも幾らでも大きく成るので、(6)の成立もψ'0を十分に大きくする事によって達成できます。
また、0 < θ0 < π/2 では、cosθ0 ≠ 1 だから、φ'0 = 0 とすれば(4)が成立する事がTEC-0-1-52-8の式から分かります。
ここまでをまとめると、0 < θ0 < π/2 and φ'0 = 0 とし、ψ'0を十分に大きくすれば、(3)(4)(5)(6)を全て同時に成り立たせる事が出来る。
これは、u1 > 0 and u2 < +1 と成る様な初期条件が存在する事を意味します。
さて、1点を固定された対称コマが支えられもしないのに傾いたまま倒れないのは、走行中の自転車が倒れないのとはわけが違います、多分。
「多分」と言ったのは、自転車が倒れない原理を私はハッキリとは知らないからです。
走行中の自転車が倒れないのは、掌の上に立てた鉛筆を倒れない様に維持する事が出来るのと同じ理由での事です、多分。
その証拠に、前輪を直線レール上に束縛したら自転車は倒れてしまいます、多分。
1点を固定された対称コマは、自転車の前輪を直線レール上に束縛したのに相当する条件下で、傾いたまま倒れない事が可能です。2021.02.14,15,16;2021.06.21,22,23




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