CAN-1-1-22
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CAN-1-1-22 初等力学正典

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【補足説明欄】

1行目の「 [4] 剛体の力学 」は、CAN-1-1-22-2からCAN-1-1-28-30までの記事のタイトルです。2020.12.08

剛体の力学は、ニュートン力学の演繹(えんえき)の極致なので是非知って欲しいと思い、ここに掲載しましたが、電磁気学の学習にも相対性理論の学習にも量子力学の学習にも予備知識として必要ではありません。
その意味で、剛体の力学は物理学の果実であって根幹ではない、と私は思っていますが、解析力学の様な理論を作る営みこそが理論物理学の根幹だ、という価値観も有る様です。
解析力学正典を読解するための予備知識としても、初等力学正典第3章[4]の内容は必要ではありませんが、解析力学という物は元来、剛体の力学の問題を解く為に開発された解法理論です。
数学においても物理学においても、理論の適用つまり問題を解く事は、理論の構築よりも低級な活動だと考えられています。
私も、そう思います。
解析力学は、理論ではあるけれど、所詮は剛体の力学の問題の一般解法だから、問題を解くための理論です。
結果的には解析力学は量子力学の建設という物理学の根幹に役立ちましたが、元々は解析力学はそれを目指して作られた物ではないのです。
そういう事が有るからこれからも現代の物理学の研究において解析力学の構築に相当する様な研究(数学的再定式化と呼ばれます)をするのが根幹において最も有望だ、という意見には一理有りますが、古典力学と量子力学の違いに当たる部分を発見するのには解析力学は何の役にも立ちませんでした。
ニュートン力学と相対性理論の違いに当たる部分を発見するのにも解析力学は何の役にも立ちませんでした。
その事情はこれからも同じだ、と思うのです。
数学的再定式化は演繹だから、そこから物理的に新しい仮説が生まれる事は無い、という事です。
物理学の根幹は、古典力学から量子力学への移行やニュートン力学から相対性理論への移行における様な新しい仮説であって、ニュートン力学を解析力学の形式に書き換える様な再定式化ではない、と私は考えます。
この様に、学問では、根幹なのか果実なのかとか、高級か低級かとか、そういう感覚が多岐亡羊(たきぼうよう)の森を進む上でのコンパスに成ります。
むしろ、他にコンパスは無い、とさえ言える。
そして、学者としての勝負は、記憶力や計算力よりも、むしろ、このコンパスの優劣で決まる、と私は考える。
それなのに、他人の仕事を馬鹿にするな、と言う人が居る。
それも、ただ言うだけでなく、まるで人殺しを言い咎めでもするかの様な態度で言う人が居る。
それだけでもない。
実際に人殺しと同程度の罪であるかの様な制裁を行なう。
それこそが人殺しなのである。
これには私は何十年も前から、ものすごく怒っている。
こっちはそこ(コンパス)で勝負してるんだ。
ある方向を尊ぶ事はその反対の方向を蔑む事と同義です。
何も蔑んではいけないのでは、コンパスは成り立たないのである。
また、コンパスの勝負で勝った者が自分のコンパスを誇るのは当たり前じゃないか。
学問での挫折の大半は多岐亡羊の森での遭難です。
コンパスが無ければ、そう成ってしまう。
私が当典を書いた理由も、それです。
当典も読者のコンパスに成る事を目指しています。
しかし、当典が扱っていない科目では、当典をコンパスとして使う事は出来ません。
当典が知識の画一化をもたらす事の無い様に私は当典を、全部読んでも時間が余る様に、徹底的に軽量化しておきました。
当典に書かれていない素晴らしい学理を見た時にそうだと感知できる鑑識眼を当典で養って下さい。
読者が将来自分のコンパスで勝負していると、その態度が他人の仕事を馬鹿にしているという理由で攻撃を受けるかもしれません。
しかし、それでは、そういう攻撃をする人がコンパスで勝負している学者の仕事を馬鹿にしたら、その学者は怒って攻撃するでしょうか。
そんな事は無いはずです。
私がここまでに書いたコンパスについての考えを理解していなくても、そんな事は無いはずです。
それが、馬鹿にされて攻撃する人が自分でも自分の仕事を馬鹿にしている事の、コンパスで勝負している学者の仕事の方が自分の仕事より上等だと自分も思っている事の、証拠だと私は考えます。
馬鹿にされた人も同じ価値観を持っているのに、その価値観を別の人が持っている事を「馬鹿にしている」と言って責める事は、その価値観がいけないんだ、という主張が不正直なウソである証拠です。
事実、話の始めの方で「職業に貴賎なし」と言っていた人の話を最後まで聞いてみると話の終わりの方では「ペンキを塗る仕事は下の下なんだ」と言っていたり、それに類する事は枚挙にいとまがありません。
では、本心ではどう思っているのでしょうか。
善悪の評価で相手を悪いと不当に評価する事によって優劣の勝負で負けた分を挽回しようとしている、と考えられます。
それがインチキである事は本人も自覚しているのではないか。
優劣の勝負で勝った者は自分を負けた者より優れていると認識する、その認識は相手を馬鹿にしているから反則負けだ、と言うなら、誰も勝負に勝てない事に成ってしまう。
そんな馬鹿な話は無いのである。
CAN-1-1-15に書かれている一般原理だけからコマの運動が導き出される所(TEC-0-1-50-6以降)は圧巻です。
この事はまた、ニュートンの運動方程式が正しい事の証拠でもあります。2020.12.08,09,11,12,13

2行目の「 @ 剛体とは 」は、3〜5行目の記事のタイトルです。2020.12.08

2行目から5行目までについて。
3,4行目の「構成質点間の距離が、どの対についても一定で時間と共に変化しない」という条件は、その質点系の(形, 大きさ)が全く変化しない事を意味し、質点系に対する束縛条件と見なされます。
(形, 大きさ)とは、COM-1-16-6〜14への補足説明で言及されている(形, 大きさ)の事です。
質点系を構成する質点の位置ベクトルを r1, r2, ・・・, rn とする時、TEC-0-1-43の補足説明欄の赤枠内の式(13a)の記号法で言って、3n次元空間内で点(x1, y1, z1; x2, y2, z2; ・・・; xn, yn, zn)が「∀j, k; |rj - rk| = cjk(定数)」という条件で定義される面上に束縛されている、と考える事が出来ます。
ただし、面と言っても、この面は6次元です。
G(t)の成分が3つ、Euler角が3つだから、6次元だと分かります。
G(t)とEuler角は、CAN-1-1-22-14以降で、説明されています。
質点に対する束縛条件(CAN-1-1-6-9,10に対する補足説明とCOM-1-8, COM-1-9を参照)と同様に、剛体を定義する条件も、それが成り立つ様に内力(系内の質点どうしが及ぼし合う力)が自主調節的に働く、と考えるべきではなく、特定の試行に対してたまたま丁度良い具合に内力と外力が働いた(あるいは全く働かなかった)ので結果的に変形しなかった、と考えるか、あるいは、非常に変形し難いが完全には剛体でない物を近似的に剛体として扱う便法と考えるべきです。
なお、特定の試行に対して結果的にそう成った、という考え方は、私が言っているだけで、完全には剛体でない物を近似的に剛体として扱う便法と考えるのが普通でしょう。
また、特定の試行に対して結果的にそう成った、という考え方は、剛体についての推論の前提は矛盾している、という批判に対する反論としての純粋に論理的な価値しか持たず、実際にそう成る事は、そのためだけに作った問題において、ぐらいのものでしょう。
初等力学の範囲内では束縛条件はそういうものですが、大学院で習う物理学では基礎レベルで厳密に成り立つ束縛条件(拘束条件)という物を考える事も有ります。2011.08.22,24,30,31;2020.12.09,11,22

6行目の「 A 剛体の位置と向き、および運動の記述」は、CAN-1-1-22-7からCAN-1-1-27-2までの記事のタイトルです。2020.12.08

14行目の[並進と回転]は、15〜22行目の記事のタイトルです。2020.12.08

17行目について。
xx ’も矢印ではなく列ベクトルです。
x 1 - x 2 - x 3 系で測った座標が x である点(位置)の座標を x ’1 - x ’2 - x ’3 系で測ると x ’である、としています。
このように、同一の点に対する座標の関係を指定すれば、座標系の関係は完全に指定されます。
17行目の式はCAN-1-1-8-16〜18の左の式に相当します。2008.7.29;2020.12.22

19行目について。
SO(3)は、行列式が+1である様な3次元直交行列全体の集合です。つまり、
SO(3) ≡{ M | M ∈ R 3×3 and M t=M -1 and |M| = +1}です。(CAN-1-1-8-15の補足説明を参照せよ)
行列式が-1ならばx'1-x'2-x'3系が右手系でもx1-x2-x3系が左手系に成ってしまうだけです。
その事は、次の様に考えれば分かります。
x'1-x'2-x'3系とx1-x2-x3系の両方が右手系である場合、それらがどんな右手系であっても、それらの位置関係は、両者の座標軸がことごとく重なっている(向きまで一致している)状態から連続的に回転する事によって得られる。
連続的に回転するのだから座標軸の向きの関係を表す行列の行列式の値が、その間に不連続に変化する事は無い。
しかし行列式の値は、+1または-1だし、両者の座標軸がことごとく重なっていた時には+1だったのだから、ずっと+1のままである。
例えばx'1-x'2-x'3系が右手系でx1-x2-x3系が左手系である場合、それらの位置関係は、両者の座標軸がことごとく重なっている状態(向きは不一致でも良い)から連続的に回転する事によって得られる。
連続的に回転するのだから座標軸の向きの関係を表す行列の行列式の値が、その間に不連続に変化する事は無い。
しかし行列式の値は、+1または-1だし、両者の座標軸がことごとく重なっていた時には-1だったのだから、ずっと-1のままである。
R は実数全体の集合(すべての実数を元に持ちそれ以外の元を持たない集合)です。
R 3 は、ここでは成分が実数の 3×1 行列(列ベクトル)全体の集合です。
R 3×3 は、成分が実数の 3×3 行列全体の集合です。
f :A → S とは、f が A から S への写像である、という意味です。
したがって、G(t) ∈ R3, B(t) ∈ SO(3) です。2008.7.30;2020.12.10,12,22

15〜21行目に書かれている座標系の選び方は第2章[1]B座標変換と慣性力での座標系の選び方の特別な場合だ、と見なす事も出来ます。
従がって、剛体を構成する質点の各々に対して、CAN-1-1-9-16〜21の式が成り立ちます。
ただし、CAN-1-1-9-17のFとしては、その質点に働く全ての外力(CAN-1-1-15-14)と全ての内力(CAN-1-1-15-14)の合力を使う必要が有ります。
また、CAN-1-1-22-9〜11に書かれている事が理由で、CAN-1-1-9-16の辺はゼロに成ります。
従がってCAN-1-1-9-16〜21の式は、剛体に固定された座標系で測ると剛体を構成するどの質点に働く力も釣り合っている、と読めます。2020.12.11,12

23行目の[Euler角]は、CAN-1-1-22-24からCAN-1-1-25-26までの記事のタイトルです。2020.12.08
Euler は人名です。「オイラー」と読む。

24行目の「以下の3つ」とは、x-規約(CAN-1-1-23)、y-規約(CAN-1-1-24)、xyz-規約(CAN-1-1-25)の3つの事です。2020.12.08






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【SEOテキスト】宇田雄一,04.2.7,第3章,質点系の力学,[4]剛体の力学,(1)剛体とは,質点系のうちで、構成質点間の距離が、どの対についても一定で時間と共に変化しないものを、剛体と呼ぶ。,(2)剛体の位置と向き、および運動の記述,剛体の位置と向きは、剛体に固定された座標系の座標軸の位置と向きを指定する事によって記述される。剛体に固定された座標系とは、その座標系で計ると剛体を構成する全ての質点の座標が時間と共に変化しない座標系の事を言う。剛体の運動は、剛体の位置と向きを時刻の関数として表す事によって記述される。,[並進と回転],剛体に固定された座標系(x'1-x'2-x'3系)は、ある慣性系(x1-x2-x3系)と、必ず,x=G(t)+B(t)x' (tは時刻),という形の関係式で関係付けられる。ただし、,G:R→R3,B:R→SO(3),である。G(t)はx1-x2-x3系で計ったときのx'1-x'2-x'3系の原点の座標であり、Gは剛体の並進運動を表す。Bは剛体の回転運動を表す。,[Euler角],θ(t),φ(t),ψ(t)とB(t)とが以下の3つのうちのいずれかの関係を持つとき、θ(t),φ(t),ψ(t)をEuler角と呼ぶ。以下においてθ(t),φ(t),ψ(t),B(t)をθ,φ,ψ,Bと略記する。