CAN-1-1-6
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CAN-1-1-6 初等力学正典

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【補足説明欄】

第1,2行目の記述は、前ページの第29,30行目の記述の続きです。
CAN-1-1-5-29〜CAN-1-1-6-2の内容が正しい事の証明は、TEC-0-1-11-23〜TEC-0-1-12-2に書かれています。2011.05.29;2013.02.17

第2行目まで読み終わった後、第3行目以降を読む前に読むべき補足説明が、TEC-0-1-12-4〜TEC-0-1-13-9に書かれています。2013.02.17

CAN-1-1-4-2〜CAN-1-1-6-2の内容全体についての包括的な説明が、COM-1-5-8〜28に書かれています。2013.02.25

第3行目の A束縛問題 は、このページの第4行目からCAN-1-1-8-3までの記事、のタイトルです。2011.10.12,20

第4行目の[束縛問題と束縛力]は、第5行目から第15行目までの記事のタイトルです。2011.10.20

第5行目から第7行目までで私は、束縛問題というものを、束縛という原因によって生じる結果を求める問題、とはせず、「質点が特定の曲面または曲線上に存し続ける事が予め分かっている場合、この質点の運動を求める問題」だと書いている事に、気を付けて下さい。2011.06.11

第9,10行目について。
束縛力を「質点を特定の曲面または曲線上に存し続けさせる力」とはせず「質点が特定の曲面または曲線上に存し続けるように強制する物体が質点に及ぼす力」としたのは、質点に働く力を束縛原因に成っている力とそうでない力に一意的に分解する事は出来ないからです。
例えば、円周上に束縛されている質点の運動で、質点の受ける垂直抗力は束縛の原因だが摩擦力は束縛の原因ではない、と言えるでしょうか?
垂直抗力をそのままにして仮想的に摩擦力をゼロに変更すると、主に質点の速さの増加によって、質点の軌道の曲率半径は増加し、質点はその円周上に留まっていられなくなるでしょう。
摩擦力はこう成るのを防いだ、と考える事も出来ます。
だから、垂直抗力+摩擦力のうちの、どこからどこまでが束縛の原因であり、どこからどこまでがそうではないのかを、特定する事は出来ません。
同様の理由で、垂直抗力+摩擦力+他の力のうちの、どこからどこまでが束縛の原因であり、どこからどこまでがそうではないのかを、特定する事も出来ません。
この様に言うと屁理屈に聞こえるかもしれませんが、質点が円周上に存し続けたのは結果であって、質点に働いた力はその原因だから、質点が円周上に存し続ける様に垂直抗力が自主調節的に働くというのは、原因と結果の順番の観点から言って有り得ない、という事です。
COM-1-5-9〜12に書かれている様に、力学の原理は、力の法則と運動の法則であり、束縛条件は原理ではありません。
したがって、もし束縛条件が法則として成り立つならば、力の法則と運動の法則から束縛条件が導き出されるべきであって、束縛条件から力が導き出されるという考えは本末転倒です。
また、質点が特定の曲面または曲線上に存し続ける、といった様な条件を導き出せる力の法則は存在しないので、質点が特定の曲面または曲線上に存し続けるように強制する物体というものも本当は無い事に成ります。
だから、「質点が特定の曲面または曲線上に存し続けるように強制する物体が質点に及ぼす力」と書いたところで、「質点を特定の曲面または曲線上に存し続けさせる力」と五十歩百歩ではあります。
(ただし、学校の試験の答案には、この様な事は書かない方が無難です。)
というわけで私は、第5行目から第7行目までで、束縛問題というものは運動の一部分(束縛条件が成り立つ事)が分かっている場合に運動の残りの部分を求める問題だ、という意味の事を書きました。
運動だけでなく束縛力も求めよ、という問題も、束縛問題に分類されます。2011.06.06,07,10,11,12,19,20,22;2011.08.08

第13行目の「抗力が束縛力である場合」という部分が分かりにくいと思います。
第10,11行目の「面や線が及ぼす束縛力は抗力と呼ばれる事もある」という部分を読んで、束縛力はいつでも抗力なのではないか、と思ってしまいそうだからです。
この部分は、面や線が及ぼすのではない束縛力の可能性を念頭に置いて、書かれています。
例えば、遠隔力が束縛力である場合(そういう場合は存在しないかもしれないけど)、これは抗力ではありません。2011.08.03,08

第16行目の[摩擦力と垂直抗力]は、第17行目から第30行目までの記事のタイトルです。2011.10.11

第18行目から第20行目では、抗力を面や線の方向と面や線に垂直な方向に分解する事が、念頭に置かれています。
抗力を2方向に分解するとき、その2方向のうちの片方が面や線の方向であっても、もう片方が面や線に垂直な方向でなければ、面や線の方向の成分ベクトルは摩擦力ではありません。
また、抗力を2方向に分解するとき、その2方向のうちの片方が面や線に垂直な方向であっても、もう片方が面や線の方向でなければ、面や線に垂直な方向の成分ベクトルは垂直抗力ではありません。2011.08.08

第18行目から第20行目までの内容についての補足説明が、COM-1-9-27〜30に、書かれています。2013.03.01

第21行目の「2力の関係」とは、垂直抗力と摩擦力の関係の事です。
μ'<μの事ではありません。(動摩擦力と最大静止摩擦力の関係の事ではありません)2011.08.12

第25,26行目の様に摩擦角θを定義すると、θは抗力T+Rが束縛面や束縛線の法線となす角に成ります。
この事は、TRT+Rを辺とする直角三角形を考えれば分かります。
T+Rが斜辺で、θはT+RRの間の角です。
Rは束縛面や束縛線の法線の向きを持つから、θはT+Rが束縛面や束縛線の法線となす角だと分かります。2011.06.28,29

第22行目から第24行目までと第27,28行目に書かれている法則は経験則です。
経験則とは、基礎法則(ここでは力の法則COM-1-5-11,12)から演繹的に導き出されたのではない、やってみたら大体そう成っていたという経験に基づく、法則の事です。
ここでは質点が受ける摩擦力と垂直抗力の話をしていますが、二つの物体が有限の面積で接している場合についても、同様の事が言われ、その際には、μ(第25行目)もμ'(第28行目)も接触面積に依存しない、とされます。
しかし、自動車のタイヤは路面との接触面積が大きいほど大きな摩擦力を取れる、という話も聞いた事があり、これがウソとは思えません。
経験則だから、質点ではなく有限の面積で接する二つの物体で実験したはずで、それが何故自動車のタイヤの場合と違ったのか、私にはまだ分かりません。
大気圧の影響でしょうか?
読者の皆さんも、暇な時に考えてみて下さい。2011.07.02,04,19,20,27

第29行目の式において、v/|v|はvと同じ向きを持つ単位ベクトルだから、-μ'|R|v/|v|はvと反対の向きを持ち大きさがμ'|R|のベクトルです。2011.08.13,14

束縛についての私の哲学的な見解が、COM-1-8-1〜COM-1-9-24に、書かれています。2013.03.01

脚注の「COM-1-8〜9」は「COM-1-8,9」と同じ意味です。





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【SEOテキスト】宇田雄一,03.7.28,第2章,質点の力学,力学的エネルギー:mv2/2+U:は時間が経過しても変化しない。(v≡|v|),A束縛問題,[束縛問題と束縛力],質点が特定の曲面または曲線上に存し続ける事が予め分かっている場合、この質点の運動を求める問題を束縛問題と言う。特に、質点が特定の曲面または曲線上に存し続けるように強制する物体がある場合には、その物体が質点に及ぼす力を束縛力と呼ぶ。面や線が及ぼす束縛力は抗力と呼ばれる事もある。束縛力が面や線に常に垂直な場合、質点は滑らかな束縛を受けている、と言われ、その中でも特に抗力が束縛力である場合には、面や線が滑らかである、と言われる。滑らかでない事を粗いと言う。,[摩擦力と垂直抗力],(1)定義,抗力の面や線の方向の成分ベクトルを摩擦力、面や線に垂直な方向の成分ベクトルを垂直抗力と呼ぶ。(2)2力の関係(μ'<μ),摩擦力をTとし、垂直抗力をRとすると、v=0の場合には、|T|/|R|のとり得る値には最大値があり、これはR,Tの大きさやTの向きによらない。この最大値を静止摩擦係数と呼びμと書く。θ≡tan-1μを摩擦角と呼び、μ|R|を最大摩擦力と呼ぶ。v≠0の場合には、vの値やTの値によらず|T|/|R|は一定値をとり、これを動摩擦係数と呼びμ'と書く。この場合にはT=-μ'|R|v/|v|が成り立つ。v=0でもv≠0でもR=0となった瞬間のTは0