TEC-0-1-38 | |||
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CAN-1-1-14 |
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【補足説明欄】 1行目の「複素テクニック」は、このページで説明されている技術に対して著者が付けた名称です。 広く通用している名称ではありません。2016.02.09 2行目の [問題31] は、2行目から30行目までの記事、のタイトルです。 2〜4行目が問題文で、5〜30行目が解答です。2016.02.09 2行目の E, B, x, t は、CAN-1-1-14-10〜18で説明されている物です。2016.02.01 3行目の i, j, k は、CAN-1-1-1-11〜16の単位ベクトルです。2016.02.01 2行目に書かれている「E, B は x, t に依存しない」という条件によって、3行目の B, E1, E2, E3 は、いずれも x, t に依存しない、という指定が為された事に成ります。2016.02.02 5,6行目の r は、質点の位置ベクトルであり、時刻 t の関数です。2016.02.01 5,6行目の式は、CAN-1-1-4-6の運動方程式に、α≡d2r/dt2(CAN-1-1-1-8,9)と、 F = qE + q(dr/dt)×B (CAN-1-1-14-14,18) を代入する事によって得られる式です。2016.02.01 7〜12行目の式中の x, y, z は、CAN-1-1-1-11の x, y, z です。2016.02.01 7〜12行目の式は、5,6行目の式から、次の様にして導出されます。 dr/dt = (d/dt)(xi + yj + zk) ∵CAN-1-1-1-11 = (dx/dt)i + (dy/dt)j + (dz/dt)k ・・・ (4) ∴ (dr/dt)×B = [(dx/dt)i + (dy/dt)j + (dz/dt)k]×(Bk) = (dx/dt)Bi×k + (dy/dt)Bj×k + (dz/dt)Bk×k = (dx/dt)B(-j) + (dy/dt)Bi + (dz/dt)B0 = (dy/dt)Bi - (dx/dt)Bj ∴ qE + q(dr/dt)×B = q(E1i + E2j + E3k) + q[(dy/dt)Bi - (dx/dt)Bj] = q[E1 + (dy/dt)B]i + q[E2 - (dx/dt)B]j + qE3k ・・・ (5) d2r/dt2 = (d/dt)(dr/dt) = (d/dt)[(dx/dt)i + (dy/dt)j + (dz/dt)k] ∵(4) = (d2x/dt2)i + (d2y/dt2)j + (d2z/dt2)k ・・・ (6) TEC-0-1-38-5,6の式は、 d2r/dt2 = (1/m)[qE + q(dr/dt)×B] ・・・ (7) と同値です。 (7)に(6)と(5)を代入すると、 (d2x/dt2)i + (d2y/dt2)j + (d2z/dt2)k = (q/m)[E1 + (dy/dt)B]i + (q/m)[E2 - (dx/dt)B]j + (q/m)E3k ・・・ (8) が得られます。 i, j, k が線形独立である事と(8)から、 (d2x/dt2) = (q/m)[E1 + (dy/dt)B] (d2y/dt2) = (q/m)[E2 - (dx/dt)B] (d2z/dt2) = (q/m)E3 という条件がTEC-0-1-38-5,6の式と同値だ、と分かります。2016.02.02,09,10 13,14行目の式は、11,12行目の式から、次の様にして得られます。 まず、11,12行目の式を、「dz/dt を t で1階微分すると (q/m)E3 に成る」という風に読みます。 この事から、 dz/dt = (q/m)E3t + b ・・・ (9) だと分かります。 ただし、b は積分定数であり実数です。 (9)から、 z = (1/2)(q/m)E3t2 + bt + a3 だと分かります。 a3 も積分定数であり実数です。2016.02.02 16,17行目の式では x も y も x + iy を通してのみ出現している事、に注目して下さい。 これは、x + iy という単一の関数に対する微分方程式を作る事が出来た、という事を意味します。 16,17行目の式で x と y が x + iy を通してのみ出現している事は、ローレンツ力の法則が複素数という数学概念に良く馴染む事を意味します。 このページで紹介している複素テクニックは、方程式のこの様な特殊性に依存した方法であり、どんな2元連立方程式に対しても使える、というわけではありません。 例えば、もし9,10行目の式の右辺の負号(-)が正号(+)だったなら、たったそれだけでも、複素テクニックは使えなかった所です。 直感的に符号も交えてひねった感じのする方程式に対しては、複素テクニックを適用できる見込みがあります。2016.02.02,09 18〜23行目の式の成立根拠は、16,17行目の式です。 16,17行目の式から18〜23行目の式を導出する方法は、TEC-0-1-27-29〜TEC-0-1-28-10で説明されている方法と同じです。 TEC-0-1-38-16,17の (d/dt)(x + iy) を、TEC-0-1-27-29,30の x(t) だと考えます。 TEC-0-1-38-16,17の iqB/m を、TEC-0-1-27-29,30のλだと考えます。 TEC-0-1-38-16,17の (q/m)(E1 + iE2) を、TEC-0-1-27-29,30の f(t) だと考えます。 TEC-0-1-38-20〜23の A は、積分定数であり、複素数です。2016.02.02,09 24,25行目の式の成立根拠は、22,23行目の式です。 Cは、積分定数であり、複素数です。2016.02.02 26,27行目の式の成立根拠は、24,25行目の式です。 a1 と a2 を実の定数として、 C = a1 + ia2 と置いています。2016.02.02 28,29行目の式は、26,27行目の式の実部と虚部を別々に書き出した物です。 28行目の式が実部で、29行目の式が虚部です。 A' とφは、30行目の置き方で定まる定数であり、実数です。 30行目の置き方に従えば、 [iAm/(qB)]exp(-iqBt/m) = A'[cos(-qBt/m +φ) + i sin(-qBt/m +φ)] = A' cos(qBt/m -φ) - iA'sin(qBt/m -φ) 30行目の置き方が出来る事は、A',φを実数として、iAm/(qB) という1つの複素数を A'exp(iφ)という形に書く事が出来るはずである事から、分かります。2016.02.02 |
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【SEOテキスト】宇田雄一03.11.18,CAN-1-1-14-9〜16複素テクニック[問題31]E,Bが一様一定(x,tに依存しない)で、B=Bk,E=E1i+E2j+E3kとする時、電磁場のみから力を受ける電荷q質量mの質点の運動を求めよ。md2r/dt2=qE+qr×B{d2x/dt2=q/m (E1+dy/dt B)・・・・・・・・・・・(1)d2y/dt2=q/m (E2-dx/dt B)・・・・・・・・・・・(2)d2z/dt2=q/m E3・・・・・・・・・・・・・・・(3),(3)より、z=qE3/2m t2+bt+a3・・・・・・・・・・・(3)',(1)+i(2)より、d2/dt2 (x+iy)+iqB/m d/dt (x+iy)=q/m (E1+iE2),d/dt[eiqBt/m d/dt(x+iy)]=q/m (E1+iE2)eiqBt/m,eiqBt/m d/dt(x+iy)=m/iqB・q/m (E1+iE2)eiqBt/m+A,d/dt(x+iy)=E1+iE2 /iB+Ae-iqBt/m,x+iy=C+ E1+iE2 /iB t+Am/-iqB e-iqBt/m,x+iy=(a1+ia2)+ E2-iE1 /B t+iAm/qB e-iqBt/m∴x=a1+(E2/B)t+A'cos(qBt/m-φ),y=a2-(E1/B)t-A'sin(qBt/m-φ)∵iAm/(qB)e-iqBt/m=A'e-iqBt/m+iφとおける。※A,Cは複素積分定数、a1,a2,A',φは実定数。 |
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