CAN-2-1-1
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CAN-2-1-1 電磁気学正典

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[補足説明欄]

1行目の上の「第1章 電磁場の記述」は、CAN-2-1-1からCAN-2-1-3までの記事のタイトルです。2021.06.24

電磁場の定義についてCOM-2-6-2〜16に補足説明が書かれています。2021.06.29

力学では質点の運動はどの様で有り得るかを学びましたが、電磁気学では電磁場はどの様で有り得るかを学びます。
携帯電話などの無線通信やテレビ放送やラジオ放送で使われている電波の正式名称は電磁波であり、電磁波は電磁場の特別な場合です。
静電気を帯びた物体の周りに出来る電場や、磁石の周りに出来る磁場も、電磁場の特別な場合です。
また、光は電磁波です。
電磁場は電気とは違います。
電子工学では電流と電圧が主役ですが、電磁気学では電磁場が主役です。
電流や電圧は電気と言えますが、電磁場を電気とは言いません。
電波は電気の波ではないわけです。
電磁場は場です。
物理学の専門用語としての「場」は、日常語の「場」と少し意味が違います。
日常語では例えば「酒気を帯びた人が居たので場の雰囲気がなごんだ」という表現が可能です。
電気は、この例文における「酒気」に例えられ、電磁場は、この例文における「雰囲気」に例えられます。
つまり電磁場は、この例文における「場」に相当する概念ではないわけです。
物理学の専門用語としての「場」は英語では「field」です。
物理学では場とは、空間の各点に付随する自由度や、それを全ての空間点に渡ってまとめた系(CAN-1-1-15-3への補足説明)の事です。
空間点は無限個あるので、その系の自由度は無限個ある事に成ります。
だから物理学では場を「無限自由度の系」と呼ぶ事が有ります。
自由度とは、例えば質点のx座標やy座標やz座標が自由度なのでした。
「自由度」という言葉から判断すると、自由度は自由の程度を表すのだから座標の個数が自由度だ、と思ってしまいがちですが、それは間違いです。
英語では例えば「three degrees of freedom」という表現が使われます。
「degree」の複数形「degrees」が使われている事に注意して下さい。
この事は、質点の場合、x座標とy座標とz座標のそれぞれが自由度であり、質点には自由度が3つ有る、と考えなければいけない事を意味します。
3つの自由度であって自由度3ではない、という事です。
「無限自由度」は「infinite degrees of freedom」です。
無限個の自由度なのであって自由度が無限大なのではないわけです。
「度」「degree」という言葉の意味からするとしっくりしませんが、「自由度」という言葉の単なる定義なので慣習に従がっておく事にします。
同様の理由で、「場」という言葉の用法も慣習に従がっておく事にします。2021.06.24,25,26,27,29;2021.07.14,16

1行目の「 [1] 3次元ベクトル場記法 」は、2行目から12行目までの記事のタイトルです。2021.06.24

2行目の E, H: R4R3 は一般には、EHR4からR3への写像だ、という意味ですが、ここでは「: R4R3」がE, Hを後置修飾している(CAN-1-1-15-9への補足説明)と考えます。
従がって、∀x ∈ R4; E(x) ∈ R3 and H(x) ∈ R3
つまり、EHも実4変数ベクトル値関数です。2021.06.26,29

3,4行目の「: R3R3」も後置修飾です。2021.06.29

3行目のE(□, t)は、xR3E(x, t) ∈ R3 に写す写像(関数)です。(TEC-0-2-2)
つまり、E(□, t)は実3変数ベクトル値関数です。
このE(□, t)が時刻tにおける電場を表します。
E(x, t)が時刻tにおける空間点xでの電場だと言われる事も有ります。
また、E: R4R3 が電場だと言われる事も有ります。2021.06.26,29;2021.07.14

4行目のH(□, t)は、xR3H(x, t) ∈ R3 に写す写像(関数)です。(TEC-0-2-2)
つまり、H(□, t)は実3変数ベクトル値関数です。
このH(□, t)が時刻tにおける磁場を表します。
H(x, t)が時刻tにおける空間点xでの磁場だと言われる事も有ります。
また、H: R4R3 が磁場だと言われる事も有ります。2021.06.26,29;2021.07.14

3,4行目の□を使った記号法は当典著者独自の発明です。
例えば、fを3変数関数とする時、f(□, y, z)やf(x, □, z)やf(x, y, □)は1変数関数であり、
[f(□, y, z)](x) = f(x, y, z) ・・・ 関数f(□, y, z)は数xを数f(x, y, z)に写す、
[f(x, □, z)](y) = f(x, y, z) ・・・ 関数f(x, □, z)は数yを数f(x, y, z)に写す、
[f(x, y, □)](z) = f(x, y, z) ・・・ 関数f(x, y, □)は数zを数f(x, y, z)に写す、
という風に定義します。
他書ではダランベルシアンと呼ばれる演算子が□で表されている事が多い、ので気を付けて下さい。2021.06.27,28

H1(x, t)をE4(x, t)と書き、H2(x, t)をE5(x, t)と書き、H3(x, t)をE6(x, t)と書けば、CAN-1-1-15の意味でのrik(t)における(i, k)に、Ek(x, t)における(k, x)が例えられます。
つまり、6つの電磁的自由度が空間の各点に付随している、という事です。
この自由度が電磁場です。2021.06.26

6〜12行目の図は、時刻tにおける空間点xでの電場ベクトルと磁場ベクトルを表しています。
6〜12 行目の図において、図示されている3つのベクトルの関係は任意です。
互いに直交していなくてはいけない、とかいう事は有りません。(COM-2-7-26,27)
ここでは、行ベクトル (x1, x2, x3) や列ベクトル (x1, x2, x3)t と矢印ベクトル x1i + x2j + x3k を区別せず、
行ベクトル ( E1(x, t), E2(x, t), E3(x, t) ) や列ベクトル ( E1(x, t), E2(x, t), E3(x, t) )t と矢印ベクトル iE1(x, t) + jE2(x, t) + kE3(x, t) を区別せず、
行ベクトル ( H1(x, t), H2(x, t), H3(x, t) ) や列ベクトル ( H1(x, t), H2(x, t), H3(x, t) )t と矢印ベクトル iH1(x, t) + jH2(x, t) + kH3(x, t) を区別していません。
特に誤解の恐れが無い時には、行ベクトルや列ベクトルとそれに対応する矢印ベクトルを区別しない事にします。2021.06.26;2021.07.14

2〜12行目については、CAN-1-1-14-14に対する補足説明も、参照して下さい。2016.02.04;2021.07.07

13行目の「 [2] 3次元ポテンシャル記法 」は、14行目から30行目までの記事のタイトルです。2021.06.24

「ポテンシャル(potential)」は、元は「潜在的な」という意味の形容詞です。
「電磁場のポテンシャル」と言う時の「ポテンシャル」は、この形容詞が名詞に転用された物です。
この様な例としては他にも「functional」という形容詞が名詞に転用されて「汎関数」と訳されるなどがあります。
微分すると電磁場が出て来る事を「電磁場が潜んでいる」という言葉で表現するのが、ポテンシャルという名称の考え方だと思われます。
だから、ポテンシャルという言葉にはエネルギーという意味は有りません。
力学ではポテンシャル・エネルギーという物を考えましたが、これは運動エネルギーを顕在的なエネルギーと認識し、それと対比してポテンシャル・エネルギーを潜在的なエネルギーと認識したからです。
ポテンシャル・エネルギーを微分すると力が出て来る(CAN-1-1-5-17〜21, CAN-1-1-16-2,6,14,15,16)ので、電磁場のポテンシャルという言い方に倣えば、ポテンシャル・エネルギーは「力のポテンシャル」だ、という見方も出来ます。
電磁場のポテンシャルと対比して、EHを「電磁場の強度(field strength)」と呼ぶ事が有ります。
これは、電磁場のポテンシャルだって電磁場じゃないか、という批判も成り立つからです。
また量子論に行くと、E, HではなくA, φの方が本当の電磁場なんだ、と考えられる様に成って行きます。
強度という言葉は|E|や|H|にこそふさわしいけれど、ポテンシャルと区別する為に「電磁場の〜」と名付ける時に「〜」の部分に使える単語が他に思い当たらないので、EHを「電磁場の強度」と呼ぶ様に成ったのでしょう。
この慣習にも従う事にします。2021.06.27,28,29;2021.07.06

14行目の@は、14行目から21行目までの記事の番号です。2021.06.24

14行目の A: R4R3 は一般には、Aは x ∈ R4A(x) ∈ R3 に写す写像(ベクトル値関数)だ、という意味ですが、ここでは「: R4R3」がAを後置修飾している(CAN-1-1-15-9への補足説明)と考えます。2021.06.28

15行目の φ: R4R は一般には、φは x ∈ R4 を φ(x) ∈ R に写す写像(関数)だ、という意味ですが、ここでは「: R4R」がφを後置修飾している(CAN-1-1-15-9への補足説明)と考えます。2021.06.28

17,18,19,25行目のは、TEC-0-1-43補足説明欄の赤枠内の式(8)で定義されています。2021.07.03

17,18行目の式の成分は以下です。
Ek(x, t) = -(∂/∂t)Ak(x, t) - (∂/∂xk)φ(x, t) ・・・ k = 1, 2, 3.
あるいは Ek(x, t) = -∂4Ak(x, t) - ∂kφ(x, t) ・・・ k = 1, 2, 3.
偏微分記号の定義についてはTEC-0-1-43補足説明欄の赤枠内を見て下さい。
当典では ∂4 = ∂/∂x4 and x4 = ct ではない事に気を付けて下さい。
それでも ∂4f(x, y, z, ct) = (1/c)(∂/∂t)f(x, y, z, ct) なんですけど、その点は理解できてるでしょうか。2021.06.28;2021.07.14

19行目の式の成分は以下です。
H1(x, t) = (1/μ0)[∂2A3(x, t) - ∂3A2(x, t)],
H2(x, t) = (1/μ0)[∂3A1(x, t) - ∂1A3(x, t)],
H3(x, t) = (1/μ0)[∂1A2(x, t) - ∂2A1(x, t)].
//2021.06.28

17〜19行目の式によれば、A, φによる表現ではE, Hで表現し得る電磁場の全てをカバーできそうにありません。
しかし、A, φによって表現できない電磁場はマクスウェル方程式の解に成らないので、ポテンシャル記法を使っても不足は生じません。2021.07.07

21 行目について。
正確に μ0 = 4π×10−7 ですが、正確に ε0 = 8.854×10−12 ではなく ε0 ≒ 8.854×10−12 です。
また、CAN-1-1-14の補足説明欄の赤枠内の説明を参照して下さい。
ここ(CAN-2-1-1-21)でも、文法主義的な書き方が採用されています。
つまり当典では、μ0もε0も単位を伴わない数だとされています。
単位を付けた 4π×10−7 [ kg ・m・C−2 ] は「真空の透磁率」と呼ばれ、8.854×10−12 [ C2 kg−1 m−3 s 2 ] は「真空の誘電率」と呼ばれます。2021.07.16

当電磁気学正典では、真空中の電磁気学のみを扱い、誘電体中の電磁気学や磁性体中の電磁気学を扱いません。
これは、特別な場合のみを扱い一般の場合は扱わない、という事ではありません。
なぜならば、誘電体中の電磁気学や磁性体中の電磁気学は、真空中の電磁気学だからです。
どういう意味かと言うと、たとえば誘電体中の電磁気学(の法則)というものは、誘電体の電荷とそれ以外の電荷を両方とも存在すると認めそれに真空中の電磁気学(の法則)を適用して得られる結果を、誘電体の電荷に目をつぶってそれ以外の電荷のみが存在すると見なしてその代わりに存在する電荷と電磁場の関係が真空中の電磁気学(の法則)とは異なるのだという風に見なす便法だ、という意味です。
(誘電体の電荷) + (それ以外の電荷) と電磁場の関係が真空中の電磁気学の法則に従う事から、(それ以外の電荷) と電磁場の関係が誘電体中の電磁気学の法則に従う事が導き出される。
つまり、電磁気学の原理は真空中であるか誘電体中であるか磁性体中であるか等の場合によって異なる、のではなく、真空中の場合の原理がどこへ行っても常に成り立つのです。
その意味で、真空中の電磁気学は電磁気学の根幹であり、誘電体中の電磁気学や磁性体中の電磁気学は電磁気学の枝葉です。
真空中の電磁気学(の法則)と誘電(磁性)体中の電磁気学(の法則)は誘電率や透磁率だけが違います。
真空の透磁率と真空の誘電率が「真空の」と呼ばれるのは、その為です。2008.7.23, 2008.7.25;2021.06.29,30;2021.07.06,14,16

21行目の c = 1/√(ε0μ0) はcの定義式です。
この定義式にε0の値とμ0の値を代入すると、c ≒ 3.0×108 だと分かります。
平面電磁波の進行速度の大きさはc[m/s]に成る事が、CAN-2-1-12で導出されます。
他書ではcの定義として「cは真空中での光速だ」という定義を採用している場合が多いと思いますが、当典では c = 1/√(ε0μ0) をcの定義だとして話を進めます。2021.07.06,16

22行目の「A ゲージ変換」は、23行目から30行目までの記事のタイトルです。2021.06.24

「ゲージ(gauge)」は、人名ではなく「計器」という意味の英単語です。
従がって、電磁場のゲージ変換を「ゲージ変換」と呼ぶ事は、「ゲージ」という単語の意味にあまりふさわしくありません。
「ゲージ」という単語の意味から推測するなら、ゲージ変換って座標変換一般の事ですか?ゲージ変換って単位の変更の事ですか?って事に成りますが、ゲージ変換は座標変換一般でも単位の変更でもありません。
電磁場のゲージ変換が「ゲージ変換」と呼ばれるのは、電磁場と重力場の統一理論を作ろうとする最初の試みにおいて用いられたゲージ変換の名残だと聞きます。
その試みにおけるゲージ変換は、「ゲージ」という単語の意味にふさわしくないでもない様に私には見えました。
ゲージ変換が同じ電磁場を表す異なるポテンシャルをつなぐ事を、同じ物理量(CAN-1-1-27-12,13への補足説明)の測定でも計器を変えると得られる数値も変わる事に例えての命名なら、「電磁場のゲージ変換」という名称も「ゲージ」という単語の意味に辛うじてふさわしいけれど、そしてゲージ変換という言葉を見る度に私の頭にはこの例え(CAN-1-1-23-2〜4への補足説明で説明されている受動的な見方)が思い浮かぶけれど、「だからゲージ変換と名付けたのだ」というのではない様です。
これは、専門用語の意味が字義から分かるとは限らない事の一例です。
専門用語の意味が字義に反するからと言ってそれを一々拒絶する人が居ますが、私は、人類の実際の過去の歴史を尊敬して、その様な態度は出来るだけ取りません。
故事成句という物が有るじゃないですか。2021.07.05,06,07

25〜27行目の式では、u: R4R でなければいけません。
つまり、uは4変数の任意の実数値関数です。2021.07.06

23〜30行目の内容の根拠はTEC-0-2-1-2〜9に書かれています。2021.06.28





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【SEOテキスト】宇田雄一,04.3.19,第1章,電磁場の記述,[1]3次元ベクトル場記法,2つの写像E,H:R4→R3を用いて,時刻tにおける{,電場はE(□,t):R3→R3,磁場はH(□,t):R3→R3,で表される。電場と磁場を合わせて電磁場と言う。,E(x,t),x,O,H(x,t),[2]3次元ポテンシャル記法,@A:R4→R3が電磁場の3次元ベクトルポテンシャルであり、φ:R4→Rが電磁場の3次元スカラーポテンシャルであるとは、,E(x,t)=-,∂A(x,t),-,∂t,-∇φ(x,t),H(x,t)=(1/μ0)∇×A(x,t),が成り立つ事を言う。ただしMKSA単位系では,μ0=4π×10-7,ε0=8.854×10-12 (c=1/√,ε0μ0),Aゲージ変換,A,φがある電磁場の3次元ベクトルポテンシャルおよび3次元スカラーポテンシャルならば、,A'(x,t)=A(x,t)+∇u(x,t),(uは任意),φ'(x,t)=φ(x,t)-,∂u(x,t),-,∂t,によって定義されるA',φ'も同じ電磁場の3次元ベクトルポテンシャルおよび3次元スカラーポテンシャルであり、変換:(A,φ)→(A',φ')をゲージ変換と呼ぶ。