TEC-0-5-29
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【補足説明欄】

このページからTEC-0-5-33までは、クレプシュゴルダン係数の求め方の説明です。
その全体を通して、L12の固有値l1(l1+1)h2に属すると同時にL22の固有値l2(l2+1)h2にも属する固有空間内に話が限られている事に、特に注意して下さい。
そうすべき事は、e8の定義(CAN-5-1-24-28以降)とe9の定義(CAN-5-1-25-22以降)とαの定義(このページの第1,2行目)より、分かります。
また、全体を通しての方針が、既知の|e8(k1,k2)>を使って未知の|e9(j,k)>を表しjとkの範囲も求める、というものである事を意識して読まないと、分かり難いでしょう。
アルゴリズムの概略は、kの値を指定してj,k1,k2の範囲を求める、というもので、k>l1+l2の場合については第22行目に、k=l1+l2の場合については第18行目と第23行目に結論が書かれており、k=l1+l2-1の場合については第24行目から議論が始まっており、k=l1+l2-2の場合については次ページの第22行目から議論が始まっています。
これも、そういう目で見ないと、分からないと思います。
この求め方は、昇降演算子を用いてクレプシュゴルダン係数を漸化的に求める普通の方法とは異なります。
普通の求め方では、TEC-0-5-33-12〜16で言及されている私が未証明の命題(私が未証明なだけで数学の体系のどこかには証明は存在するでしょうけど)が暗黙の内に前提とされており、この部分が本当に論理的に繋がるのかどうか疑問に感じたので、普通の求め方を採用しませんでした。
成立根拠を問わないなら普通の求め方の方が便利な(私の求め方ではkがl1+l2よりもずっと小さい場合については計算が難しく成り過ぎる)ので、普通の求め方も習得しておく事をお勧めします。2010.11.29,2010.12.01,02,05,14

第1,2行目は関数αの定義です。2010.12.05

第7行目の式の成立は、
L13|e8(k1,k2)>=k1h|e8(k1,k2)> ∵CAN-5-1-25-5,6
L23|e8(k1,k2)>=k2h|e8(k1,k2)> ∵CAN-5-1-25-5,6
である事を使って、
(L13+L23)|e8(k1,k2)>
=L13|e8(k1,k2)>+L23|e8(k1,k2)>
=k1h|e8(k1,k2)>+k2h|e8(k1,k2)>
=(k1+k2)h|e8(k1,k2)>
という風に計算する事によって、分かります。2010.11.29,30

第8行目から第10行目までは、|e9(j,k)>が存在する様なj,kに限っての話です。
第1,2行目のαの定義からして、|e9(j,k)>が存在しない様なj,kに対しては、α(l1,l2;k1,k2;j,k)=0ではなく、α(l1,l2;k1,k2;j,k)は存在しない、と考えなくてはいけません。2010.12.05

第8,9行目の理由は、第7行目の式と
(L13+L23)|e9(j,k)>=kh|e9(j,k)> ∵CAN-5-1-25-28,29
を使って、次の様に示す事が出来ます。
|e9(j,k)>=Σa(k1,k2)|e8(k1,k2)>とする(Σはk1とk2についての和とする)と、
両辺にL13+L23を作用させる事によって、
kh|e9(j,k)>=Σa(k1,k2)(k1+k2)h|e8(k1,k2)>
この式の左辺に|e9(j,k)>=Σa(k1,k2)|e8(k1,k2)>を代入すると、
khΣa(k1,k2)|e8(k1,k2)>=Σa(k1,k2)(k1+k2)h|e8(k1,k2)>
この式の両辺をhで割って、右辺を左辺に移項すると、
Σ[k-(k1+k2)]a(k1,k2)|e8(k1,k2)>=0
この式と|e8(k1,k2)>の線形独立性によって、
[k-(k1+k2)]a(k1,k2)=0
∴ k-(k1+k2)≠0 ⇒ a(k1,k2)=0
2010.11.29,30,2010.12.01

第10行目の理由は、第8,9行目と第1,2行目です。2010.11.29

第15行目の等号の成立は、第11行目から第13行目までの計算結果を使って、
(L1+L2)2|e8(l1,l2)>=L12|e8(l1,l2)>+L22|e8(l1,l2)>+2L13L23|e8(l1,l2)>+(L11+iL12)(L21-iL22)|e8(l1,l2)>+(L11-iL12)(L21+iL22)|e8(l1,l2)>
という風に計算した後で、この式の右辺の各項を別々に、
L12|e8(l1,l2)>=l1(l1+1)h2|e8(l1,l2)>∵CAN-5-1-25-3,4
L22|e8(l1,l2)>=l2(l2+1)h2|e8(l1,l2)>∵CAN-5-1-25-3,4
2L13L23|e8(l1,l2)>=2L13l2h|e8(l1,l2)>=2l2hL13|e8(l1,l2)>=2l2hl1h|e8(l1,l2)>=2l1l2h2|e8(l1,l2)>∵CAN-5-1-25-5,6
(L11+iL12)(L21-iL22)|e8(l1,l2)>=(L21-iL22)(L11+iL12)|e8(l1,l2)>∵CAN-5-1-23-16
 =(L21-iL22)0=0∵COM-5-36-2と同様の事情
(L11-iL12)(L21+iL22)|e8(l1,l2)>=(L11-iL12)0=0∵COM-5-36-2と同様の事情
という風に計算する事によって分かる。2010.12.09,11,13,14

第17行目に誤りが含まれています。
正 ∴|e9(l1+l2,l1+l2)>=|e8(l1,l2)>
誤 ∴e9(l1+l2,l1+l1)=e8(l1,l2)
ブラケット記号にするか否かだけでなく、左辺の第2変数が違う事にも気を付けて下さい。2010.11.21,2010.12.05

第17行目については、(L1+L2)2の固有値(l1+l2)(l1+l2+1)h2に属すると同時にL13+L23の固有値(l1+l2)hにも属する固有空間が存在すればその次元は1だ、という事を示せれば、第7行目と第14〜16行目の計算結果だけを理由にして、第17行目の式の成立を主張する事が出来ます。
ただし、|e9(l1+l2,l1+l2)>=c|e8(l1,l2)>なる複素数cは、|e9(l1+l2,l1+l2)>も|e8(l1,l2)>も単位ベクトルだから|c|=1という条件を満たす必要がありますが、具体的には決まりません。
そこで、|c|=1なるcの中から勝手にc=1を選びました。
さて、(L1+L2)2の固有値(l1+l2)(l1+l2+1)h2に属すると同時にL13+L23の固有値(l1+l2)hにも属する固有空間が存在すればその次元は1だ、という事は、次の様に示せます。
k1≦l1 and k2≦l2 ∵li-|ki|≧0(CAN-5-1-24-30)
∴ k=l1+l2 and k1+k2=k ⇒ k1=l1 and k2=l2
この条件と第8,9行目の条件より、
|e9(l1+l2,l1+l2)>は、存在すれば、k1=l1 and k2=l2であるような|e8(k1,k2)>の線形結合、つまり|e8(l1,l2)>の複素数倍です。2010.12.02,05,06,09,14

第18行目の式の成立根拠は第17行目と第1,2行目です。2010.12.05,14

第19行目から第21行目までの理由は、
k1≦l1 and k2≦l2 ∵li-|ki|≧0(CAN-5-1-24-30)
です。2010.12.06

第22行目は誤りです。
k>l1+l2ならば|e9(j,k)>が存在しないから、第1,2行目のαの定義からして、
正 k>l1+l2⇒[α(l1,l2;k1,k2;j,k)は存在しない]
誤 k>l1+l2⇒α(l1,l2;k1,k2;j,k)=0
2010.12.05

第23行目は誤りです。
j≠l1+l2ならば|e9(j,l1+l2)>が存在しない(理由は後述)のだから、第1,2行目のαの定義からして、
正 j≠l1+l2⇒[α(l1,l2;k1,k2;j,l1+l2)は存在しない]
誤 j≠l1+l2⇒α(l1,l2;k1,k2;j,l1+l2)=0
2010.12.05

第23行目は、次の様に理由付けられます。
k1≦l1 and k2≦l2 ∵li-|ki|≧0(CAN-5-1-24-30)
∴ k=l1+l2 and k1+k2=k ⇒ k1=l1 and k2=l2
この条件と第8,9行目の条件より、
|e9(j,l1+l2)>は、存在するならば、k1=l1 and k2=l2であるような|e8(k1,k2)>の線形結合、つまり|e8(l1,l2)>の複素数倍だ、
という事が、分かります。
この事と第14行目から第16行目までの計算の結果より、その様なjはj=l1+l2のみである事を、次の様にして示す事が出来ます。
|e9(j,l1+l2)>=c|e8(l1,l2)>の両辺に(L1+L2)2を作用させれば、
j(j+1)h2|e9(j,l1+l2)>=c(l1+l2)(l1+l2+1)h2|e8(l1,l2)>
この式の左辺に|e9(j,l1+l2)>=c|e8(l1,l2)>を代入すると、
j(j+1)h2c|e8(l1,l2)>=c(l1+l2)(l1+l2+1)h2|e8(l1,l2)>
この式の右辺を左辺に移項すると、
[j(j+1)-(l1+l2)(l1+l2+1)]ch2|e8(l1,l2)>=0
この式と|e8(l1,l2)>≠0から、
j(j+1)-(l1+l2)(l1+l2+1)=0
∴j2+j-(l1+l2)2-(l1+l2)=0
∴j2-(l1+l2)2+j-(l1+l2)=0
∴[j-(l1+l2)][j+(l1+l2)]+[j-(l1+l2)]=0
∴[j-(l1+l2)][j+(l1+l2)+1]=0
∴j-(l1+l2)=0 or j+(l1+l2)+1=0
∴j=l1+l2 or j=-l1-l2-1
この事とj≧0(∵CAN-5-1-25-24のj-|k|≧0)とli≧0(∵CAN-5-1-24-30のli-|ki|≧0)より、j=l1+l2∵-l1-l2-1<0
ただし、cは|c|=1なる任意の複素数であり光速ではありません。2010.12.01,02,05,06,09,14

第25行目の式は、j,x,yを未知数とする方程式です。
CAN-5-1-24-30の条件より、k1≦l1 and k2≦l2 and k1-l1Z and k2-l2Z である事を示せるから、
k=l1+l2-1の場合には、k=k1+k2を満たすk1,k2は(k1,k2)=(l1-1,l2)と(k1,k2)=(l1,l2-1)の2組だけです。
この事と第8,9行目より、第25行目の式の右辺の形に納得できます。2010.12.11,12,14

第27行目と第29行目の等号の成立は、次の様に計算すれば分かります。
(L1+L2)2|e9(j,l1+l2-1)>=j(j+1)h2|e9(j,l1+l2-1)>∵CAN-5-1-25-26,27
 =j(j+1)h2[x|e8(l1-1,l2)>+y|e8(l1,l2-1)>]∵第25行目
(L1+L2)2|e8(l1-1,l2)>=[L12+L22+2L13L23+(L11+iL12)(L21-iL22)+(L11-iL12)(L21+iL22)]|e8(l1-1,l2)>∵第11〜13行目
 =l1(l1+1)h2|e8(l1-1,l2)>∵CAN-5-1-25-3,4
  +l2(l2+1)h2|e8(l1-1,l2)>∵CAN-5-1-25-3,4
  +2(l1-1)hl2h|e8(l1-1,l2)>∵CAN-5-1-25-5,6
  +[l1(l1+1)-(l1-1)((l1-1)+1)]1/2h[l2(l2+1)-l2(l2-1)]1/2h|e8((l1-1)+1,l2-1)>∵TEC-0-5-26-20と同様の事情
  +(L11-iL12)0∵COM-5-36-2と同様の事情
 =[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2(l1-1)l2]h2|e8(l1-1,l2)>+(2l1)1/2h(2l2)1/2h|e8(l1,l2-1)>
(L1+L2)2|e8(l1,l2-1)>=[L12+L22+2L13L23+(L11+iL12)(L21-iL22)+(L11-iL12)(L21+iL22)]|e8(l1,l2-1)>∵第11〜13行目
 =l1(l1+1)h2|e8(l1,l2-1)>∵CAN-5-1-25-3,4
  +l2(l2+1)h2|e8(l1,l2-1)>∵CAN-5-1-25-3,4
  +2l1h(l2-1)h|e8(l1,l2-1)>∵CAN-5-1-25-5,6
  +(L21-iL22)0∵COM-5-36-2と同様の事情および(L11+iL12)(L21-iL22)=(L21-iL22)(L11+iL12)∵CAN-5-1-23-16
  +[l1(l1+1)-l1(l1-1)]1/2h[l2(l2+1)-(l2-1)((l2-1)+1)]1/2h|e8(l1-1,(l2-1)+1)>∵TEC-0-5-26-20と同様の事情
 =[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2l1(l2-1)]h2|e8(l1,l2-1)>+(2l1)1/2h(2l2)1/2h|e8(l1-1,l2)>
第1式は、第25行目の式の左辺に(L1+L2)2を作用させた結果であり、第25行目の式の右辺に(L1+L2)2を作用させた結果は、
(L1+L2)2[x|e8(l1-1,l2)>+y|e8(l1,l2-1)>]= x(L1+L2)2|e8(l1-1,l2)>+y(L1+L2)2|e8(l1,l2-1)>=x(第2式)+y(第3式)
だから、
j(j+1)h2[x|e8(l1-1,l2)>+y|e8(l1,l2-1)>]
 =x{[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2(l1-1)l2]h2|e8(l1-1,l2)>+(2l1)1/2h(2l2)1/2h|e8(l1,l2-1)>}
  +y{[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2l1(l2-1)]h2|e8(l1,l2-1)>+(2l1)1/2h(2l2)1/2h|e8(l1-1,l2)>}
右辺を左辺に移項して整理すると、
{j(j+1)x-x[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2(l1-1)l2]-y(2l1)1/2(2l2)1/2}h2|e8(l1-1,l2)>
 +{j(j+1)y-x(2l1)1/2(2l2)1/2-y[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2l1(l2-1)]}h2|e8(l1,l2-1)>
=0
ここで、|e8(l1-1,l2)>と|e8(l1,l2-1)>の線形独立性を使うと、
j(j+1)x-x[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2(l1-1)l2]-y(2l1)1/2(2l2)1/2=0
j(j+1)y-x(2l1)1/2(2l2)1/2-y[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2l1(l2-1)]=0
第28,30行目の左の根号内は2l1であり右の根号内は2l2である事に注意すると、これらは第27〜30行目の式に一致します。
第28,30行目の根号内が未計算なのは、どういう計算をしたのか読者に分かる様にするためでした。
しかし今見ると、この部分は、とても分かり難く成っています。
TEC-0-5-26-20と同様の事情を使っている箇所では位相因子(絶対値1の複素係数)を勝手に1に決めていますが、この事は、そう成る様にe8を調節しておく、と理解されても良いし、この部分に位相因子を補ってその後の部分を書き直す事も出来るので、ここまでの論法の破綻を意味しません。2010.12.12,13,16





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【SEOテキスト】宇田雄一06.7.9クレプシュ・ゴルダン係数<e8(r1,l1,k1;r2,l2,k2)|e9(r'1,r'2,l'1,l'2;j,k)>=α(l1,l2;k1,k2;j,k)δ2(r-r')δll'/(r1r2)2と書くことにする。さらに|e8(r1,l1,k1;r2,l2,k2)>→|e8(k1,k2)>,|e9(r1,r2,l1,l2;j,k)>→|e9(j,k)>と略記することにする。(L13+L23)|e8(k1,k2)>=(k1+k2)h|e8(k1,k2)>∴|e9(j,k)>はk1+k2=kなる|e8(k1,k2)>の線形結合であり、k1+k2≠k⇒α(l1,l2;k1,k2;j,k)=0,(L1+L2)2=L12+L22+2L1・L2=L12+L22+2L13L23+(L11+iL12)(L21-iL22)+(L11-iL12)(L21+iL22),(L1+L2)2|e8(l1,l2)>=[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2l1l2]h2|e8(l1,l2)>=(l1+l2)(l1+l2+1)h2|e8(l1,l2)>∴e9(l1+l2,l1+l1)=e8(l1,l2),α(l1,l2;l1,l2;l1+l2,l1+l2)=1,k=k1+k2の最大値はl1+l2であり、k=k1+k2=l1+l2の場合、(k1,k2)=(l1,l2)という組み合わせのみが可能だから、k>l1+l2⇒α(l1,l2;k1,k2;j,k)=0,j≠l1+l2⇒α(l1,l2;k1,k2;j,l1+l2)=0次にk=l1+l2-1の場合を考える。|e9(j,l1+l2-1)>=x|e8(l1-1,l2)>+y|e8(l1,l2-1)>これに(L1+L2)2を作用させると、j(j+1)x=[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2(l1-1)l2]x+y√l1(l1+1)-l1(l1-1)√l2(l2+1)-(l2-1)l2,j(j+1)y=[l1(l1+1)+l2(l2+1)+2l1(l2-1)]y+x√l1(l1+1)-(l1-1)l1√l2(l2+1)-l2(l2-1),