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COM-3-1 相対性理論正典

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22〜28 行目について。

物体のローレンツ収縮というものを聞き知ったばかりの頃の私の、この問題に対する中心的な疑問は、「縮んだように見えるだけなのか?それとも本当に縮むのか?本当に縮むとすれば内部応力は増加したりするのだろうか?」というものでした。

特殊相対性理論を理解した後では、このような疑問を自分が持っていた事をとかく忘れがちだが、特殊相対性理論を分かる前に、こういう疑問を持つ事は、決して、頭が悪いから、ではない。

特殊相対性理論を分かった後では、特殊相対性理論の創造を、そのぐらい俺でも出来る、という風に、とかく過小評価しがちだが、そういう態度は間違っている。

教えられなければ非常に頭の良い人でも逆立ちしても出て来ない、人間の思考の盲点を突く発想が、特殊相対性理論の創造には必要とされる。

冒頭の私の疑問が一面的外れな事は、その事を良く表している。

俺でも出来る、誰でも出来る、と言いたければ、後から言わず、誰よりも先に言わねば。

学問における第 1 級の業績というものは、分かってしまえば何でもない事が多い。
研究者は、そういうものを意識的に狙うだけでも、第 1 級の業績に随分と近付く。

特殊相対性理論は時空そのものについての真理を表す、と思っている人が多いだろうけれど、極めて実証主義的な言い方をするならば、特殊相対性理論の内容は、ある 1 つの慣性系における物理法則がローレンツ不変である、という主張に尽きる、とも言える。(どんな新しい物理法則が見つかってもそれはローレンツ不変であるはずだ、と予見できる点で、特殊相対性理論は時空そのものについての真理を表す、という考え方も間違いではなく、実証主義的な言い方の方が偏っているかもしれないが)

この事だけから、その慣性系とローレンツ変換で結ばれるどの座標系においても物理法則は同じである、という主張を演繹でき、従って、慣性系相互の関係はローレンツ変換で表される、という事と、ある 1 つの慣性系における物理法則がローレンツ不変である、という事とは、同値だからだ。

ある座標系が慣性系であるか否かは、その座標系での物理法則がどういうものであるか、によって判定されるからだ。

ここで、変換に対する能動的な見方と受動的な見方が、登場した事に、お気付きの人も、居られよう。

この事を踏まえれば、物体のローレンツ収縮というものを、物体と共に運動する座標系と運動しない座標系の比較によってではなく、運動しない座標系に留まって、運動しない座標系でのローレンツ不変な物理法則のみを用いて、説明づける事も可能なはずだ、と分かる。

ローレンツ不変でない物理法則では、棒状物体が自然長のときよりも収縮した状態では、その物体が運動していようがいまいが、フックの法則等によって表される内部応力が発生する。

しかしローレンツ不変な物理法則ではそうはならない、とすれば、ローレンツ収縮が物理法則によって説明される見込みが出て来る。

どのような物理法則を考えれば良いのか?

内部応力がゼロに成る長さが運動速度によって異なる、という物理法則を仮定すれば良かろう。

これを宇田の変な仮説と考えるのではなく、こういう法則が特殊相対論的力学に部分として含まれるはずだ、と考えねばならない。

さて、ここからは、「ように見える」について。

たとえば、レンズを通して見れば、物が、実際の大きさよりも大きく見えたり小さく見えたりする。

私が、棒状物体のローレンツ収縮に対して、収縮したように見えるだけなのか?という疑問を持ったのは、こういう意味においてだ。

つまり、ある瞬間に目に入る光が、静止時の長さの長い棒が運動している場合と、短い棒が静止している場合で、同じになる、という事なのか?と思ったのだ。

答えは「ローレンツ収縮が起こるとは、そういう意味ではない」だ。

ローレンツ収縮は、ある 1 つの座標系で測って、空間内の静止した 2 点 A ,B について、棒の片方の端が A を通過する時刻と棒の他方の端が B を通過する時刻が等しく、かつ、A から B までの距離が棒の静止長よりも小さい、という意味だ。

ただし、棒の静止長とは、棒が静止して見えるように棒と同じ速度で運動する座標系、で測った棒の長さ、の事を言う。


参考資料 1 :宇田先生のカンタン相対性理論
参考資料 2 :宇田雄一著「古典物理学」 362 〜 364 ページ。





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